N1 21日目

城の修復

文化財の保存をテーマに、「〜べからず・〜べからざる」(〜してはいけない・書き言葉)と「〜を禁じ得ない」(〜という気持ちをおさえられない)を学びます。お城の修復現場の見学記を読みましょう。

約25分 · ことば8語 · 文法 · 読む · クイズ

今日のことば

文化財

ぶんかざい

cultural property, cultural asset

この寺てらは重要じゅうような文化財ぶんかざいとして守まもられている。

損なう

そこなう

to damage, to spoil

無理むりな働はたらき方かたは健康けんこうを損そこなう。

驚嘆

きょうたん

wonder, amazement

少女しょうじょの見事みごとな演奏えんそうに、観客かんきゃくは驚嘆きょうたんした。

感銘

かんめい

deep impression

先生せんせいの言葉ことばに深ふかい感銘かんめいを受うけた。

精巧

せいこう

elaborate, finely made

この模型もけいは、本物ほんものそっくりに精巧せいこうに作つくられている。

立ち入る

たちいる

to enter (a restricted place)

工事中こうじちゅうにつき、ここから先さきに立たち入いるべからず。

修復

しゅうふく

restoration, repair

古ふるい絵えの修復しゅうふくには、何年なんねんもかかることがある。

荘厳

そうごん

solemn, majestic

山やまの上うえの寺てらは、荘厳そうごんな空気くうきに包つつまれていた。

今日の文法

〜べからず・〜べからざる

〜してはいけない(かたい書き言葉の禁止)

接続
  • V辞書形 + べからず
  • V辞書形 + べからざる + N
  • する → す + べからず/べからざる(「するべからず」とも)

「べし」の否定の形で、「〜してはいけない」という強い禁止を表す古い書き言葉です。「べからず」は文の終わりに使い、立て札や張り紙、標語などでよく見ます。「べからざる」は名詞の前に置いて「〜してはならない…」「〜できない…」という意味になり、「許すべからざる行為」「欠くべからざる存在」のように使います。どちらもかたい表現で、ふだんの会話では使いません。

例文

  • 芝生しばふに 入はいるべからず。

  • 関係者かんけいしゃ以外いがい、立たち入いるべからず。

くわしい説明とクイズ →

〜を禁じ得ない

ある感情がどうしてもわいてきて、おさえられない

接続
  • N + を禁じ得ない(怒り・驚き・同情・涙・失望 など)

ある出来事や様子を見聞きして、怒り・驚き・同情・涙などの気持ちが自然にわいてきて、おさえることができない、という意味です。「禁じる(おさえる)ことができない」から来た、かたい書き言葉です。前には感情を表す名詞が来ます。ふつうは話し手自身の気持ちを述べるときに使います。

例文

  • 七十代ななじゅうだいで大学だいがくを卒業そつぎょうした女性じょせいの話はなしには、驚おどろきを禁きんじ得えない。

  • 何度なんど注意ちゅういしても同おなじミスを繰くり返かえす部下ぶかの態度たいどに、怒いかりを禁きんじ得えない。

くわしい説明とクイズ →

読む

見学記「天井の裏の猫」

先週せんしゅう、修復しゅうふく工事こうじが続つづく城しろの特別とくべつ見学会けんがくかいに参加さんかした。

入いり口ぐちには「関係者かんけいしゃ以外いがい立たち入いるべからず」という古ふるい札ふだがかかっていたが、この日ひだけは特別とくべつに中なかへ入はいることができた。

天守てんしゅに入はいると、太ふとい柱はしらと高たかい天井てんじょうが荘厳そうごんな雰囲気ふんいきを作つくり出だしていた。

職人しょくにんたちは、文化財ぶんかざいとしての価値かちを損そこなわないよう、古ふるい木材もくざいをできるだけ残のこして修復しゅうふくしているという。

新あたらしい木きを古ふるい柱はしらにつなぐ技わざはとても精巧せいこうで、どこが継つぎ目めなのか、私わたしにはまったく分わからなかった。

参加者さんかしゃからは驚嘆きょうたんの声こえが上あがり、私わたしも驚おどろきを禁きんじ得えなかった。

最後さいごに、職人しょくにんの一人ひとりが天井てんじょう近ちかくの太ふとい木きの裏側うらがわをライトで照てらして見みせてくれた。

そこには、小ちいさな猫ねこの絵えが彫ほられていた。四百年よんひゃくねん前まえの大工だいくが残のこしたいたずらだそうだ。

見みえない場所ばしょでも手てを抜ぬかない仕事しごとと、その遊あそび心ごころに、私わたしは深ふかい感銘かんめいを受うけた。

帰かえり際ぎわ、職人しょくにんは「実じつは私わたしたちも一ひとつ隠かくしました。場所ばしょは秘密ひみつです」と笑わらった。四百年後よんひゃくねんごに、誰だれかがそれを見みつけるのだろう。

内容のかくにん

R1職人しょくにんたちは、修復しゅうふくでどんなことに気きをつけているか。

答えと解説

答え: 3 古ふるい木材もくざいをできるだけ残のこすこと

4 行目に「文化財としての価値を損なわないよう、古い木材をできるだけ残して修復している」とあります。5 行目から、継ぎ目は分からないように作られていることも分かります。

R2職人しょくにんが「私わたしたちも一ひとつ隠かくしました」と言いったのは、どういうことか。

答えと解説

答え: 1 今いまの職人しょくにんたちも、見みつけにくい場所ばしょに何なにかを残のこしたということ

8 行目で、昔の大工が見えない場所に猫の絵を残したことが紹介されています。「私たちも」とあるので、今の職人も同じように何かを隠して残したという意味です。最後の文「四百年後に、誰かがそれを見つける」も手がかりです。

クイズ

1観光客かんこうきゃくが増ふえすぎると、町まちの美うつくしい景色けしきが(  )おそれがある。

答えと解説

答え: 4 損そこなわれる

「損なう」は、よい状態をこわすことです。観光客が多すぎて景色がこわれる心配があるので 4 です。「修復される」はよくなることで、「おそれがある」と合いません。

2(図書館としょかんの張はり紙がみ)
館内かんないで大声おおごえで話はなす(  )。

答えと解説

答え: 2 べからず

「V辞書形+べからず」は、張り紙や看板で「〜してはいけない」と禁止するときの書き言葉です。「まじき」は後ろに名詞が必要で、文の終わりには使いません。「べく」「んがため」は目的を表します。

3この時計とけいの中なかの小ちいさな部品ぶひんは、驚おどろくほど(  )に作つくられている。

答えと解説

答え: 1 精巧せいこう

「精巧」は、細かいところまでよくできている様子です。「荘厳」は寺や式などが重々しくりっぱな様子、「臆病」「無謀」は人の性格や行動に使う語なので、部品には合いません。

4子こどもたちの一生懸命いっしょうけんめいな姿すがたに、(  )を禁きんじ得えなかった。

答えと解説

答え: 3 涙なみだ

「Nを禁じ得ない」は「〜という気持ちをおさえられない」という意味で、「涙」「驚き」「同情」「怒り」など、心から自然にわいてくるものにつきます。「練習」「予定」「説明」は気持ちではないので使えません。

5この寺てらは国くにの文化財に指定していされている。

答えと解説

答え: 2 ぶんかざい

「文化財」は「ぶんかざい」と読みます。「財」は「ざい」です。

6恩師おんしの最後さいごの授業じゅぎょうに、学生がくせいたちは深ふかい(  )を受うけた。

答えと解説

答え: 4 感銘かんめい

「感銘を受ける」は、心に深く残るほど感動することです。「驚嘆」は「驚嘆する」の形で使い、「驚嘆を受ける」とは言いません。

7水みずは、人間にんげんが生いきていくうえで欠かく(  )ものだ。

答えと解説

答え: 1 べからざる

名詞の前では「べからず」ではなく「べからざる」を使います。「欠くべからざるもの」は「なくてはならないもの」という意味です。「べく」「手前」は意味も形も合いません。

8傷いたんだ壁かべの絵えを、時間じかんをかけてしゅうふくした。

答えと解説

答え: 3 修復

「しゅうふく」は「修復」と書きます。「復」は「もとにもどす」という意味です。「複」「腹」は形が似ていますが、意味が違います。

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