- 言語知識(文字・語彙・文法)・読解110分
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文字・語彙
問題1 漢字読み
__の言葉の読み方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
1彼の作品は、プロの画家の作品に匹敵するほどの完成度だ。
- 1ひつてき
- 2ひってき
- 3ひきてき
- 4ひっでき
答えと解説
答え: 2 ひってき
「匹敵」は「ひってき」と読みます。「匹」は「ひつ」ですが、「敵」の前で促音になります。「てき」は濁りません。
2この十年間の人口の推移をグラフで示した。
- 1すいうつ
- 2ついい
- 3すいし
- 4すいい
答えと解説
答え: 4 すいい
「推移」は「すいい」と読みます。「移」は音読みで「い」です。「うつ(る)」は訓読みなので熟語では使いません。
3結婚式で、友人たちが新郎新婦のために歌を披露してくれた。
- 1ひろう
- 2ひろ
- 3ひりょう
- 4はろう
答えと解説
答え: 1 ひろう
「披露」は「ひろう」と読みます。「露」は「ろう」と長音になります。「ひりょう」「はろう」という読みはありません。
4険しい山々が、旅人たちの行く手を阻んでいた。
- 1こばんで
- 2からんで
- 3はばんで
- 4ひるんで
答えと解説
答え: 3 はばんで
「阻む」は「はばむ」と読み、「進むのをじゃまする」という意味です。「こばむ」は「拒む」、「からむ」は「絡む」、「ひるむ」は「怯む」です。
5台所から、焼きたてのパンの甘い香りが漂ってきた。
- 1ただよって
- 2さまよって
- 3におって
- 4うるおって
答えと解説
答え: 1 ただよって
「漂う」は「ただよう」と読みます。香りや雰囲気が辺りに広がるという意味です。「さまよう」「におう」「うるおう」は別の漢字(彷徨う・匂う・潤う)です。
6祖母は朗らかな性格で、近所の誰からも好かれている。
- 1やすらか
- 2なめらか
- 3あきらか
- 4ほがらか
答えと解説
答え: 4 ほがらか
「朗らか」は「ほがらか」と読み、明るくて楽しそうな様子を表します。「やすらか」は「安らか」、「なめらか」は「滑らか」、「あきらか」は「明らか」です。
問題2 文脈規定
( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
7議長の手際のよい進行のおかげで、会議は( )に進んだ。
- 1綿密
- 2克明
- 3円滑
- 4頻繁
答えと解説
答え: 3 円滑
「円滑に進む」は「問題なく、スムーズに進む」という意味です。「綿密」は計画や調査が細かいこと、「克明」は細かくはっきり記すこと、「頻繁」は回数が多いことで、「会議が〜に進む」には合いません。
8翻訳では、原文の言葉が持つ微妙な( )まで伝えるのは難しい。
- 1フレーズ
- 2ニュアンス
- 3スタンス
- 4キャリア
答えと解説
答え: 2 ニュアンス
「ニュアンス」は言葉の細かい意味の違いや感じのことで、「微妙なニュアンス」とよく言います。「フレーズ」は語句、「スタンス」は立場、「キャリア」は経歴です。
9二人の説明が( )いるため、どちらが正しいのか判断できない。
- 1取り違えて
- 2見落として
- 3言い張って
- 4食い違って
答えと解説
答え: 4 食い違って
「食い違う」は、話や意見が一致しないという意味で、「説明が食い違う」と言えます。「取り違える」「見落とす」「言い張る」は人が主語になる動詞なので、「説明が」には合いません。
10この国は、ここ二十年で( )経済発展を遂げた。
- 1目覚ましい
- 2甚だしい
- 3慌ただしい
- 4目まぐるしい
答えと解説
答え: 1 目覚ましい
「目覚ましい」は、驚くほどすばらしいという意味で、「目覚ましい発展」「目覚ましい進歩」と使います。「甚だしい」はよくないことの程度が大きいこと、「目まぐるしい」は変化が速くて目が回るようなことで、「発展を遂げる」には合いません。
11反対意見が出るかと思ったが、私の提案は( )通った。
- 1ぎっしり
- 2すんなり
- 3くっきり
- 4じっくり
答えと解説
答え: 2 すんなり
「すんなり」は、問題や抵抗がなく物事が進む様子です。「ぎっしり」はすきまなくつまっている様子、「くっきり」ははっきり見える様子、「じっくり」は時間をかけて行う様子です。
12長い報告書から要点を( )して、会議用の資料を作った。
- 1削減
- 2摘発
- 3抜粋
- 4採択
答えと解説
答え: 3 抜粋
「抜粋」は、文章などから必要な部分だけを抜き出すことです。「削減」は量を減らすこと、「摘発」は悪いことを見つけて明らかにすること、「採択」は案などを選んで取り上げることです。
13雨にぬれて、手紙の文字のインクが( )しまった。
- 1にじんで
- 2すすけて
- 3しなびて
- 4ふやけて
答えと解説
答え: 1 にじんで
「にじむ」は、インクや色が周りにしみて広がることです。「すすける」はすすで黒くなること、「しなびる」は水分がなくなってしぼむこと、「ふやける」は水を吸ってやわらかくふくらむことです。
問題3 言い換え類義
__の言葉に意味が最も近いものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
14発車直前に駅に着き、かろうじて最終電車に間に合った。
- 1思いがけず
- 2あっさり
- 3余裕で
- 4何とか
答えと解説
答え: 4 何とか
「かろうじて」は、ぎりぎりのところでやっと、という意味で、「何とか」が近いです。「あっさり」「余裕で」は簡単にできた様子で、反対の意味になります。
15突然英語で質問されて、彼はうろたえた。
- 1慌てた
- 2黙り込んだ
- 3腹を立てた
- 4聞き返した
答えと解説
答え: 1 慌てた
「うろたえる」は、思いがけないことにどうしたらいいか分からなくなるという意味で、「慌てる」が近いです。「黙り込む」「腹を立てる」「聞き返す」は別の反応です。
16新しい事務所は簡素な造りだが、とても使いやすい。
- 1頑丈な
- 2豪華な
- 3シンプルな
- 4独特な
答えと解説
答え: 3 シンプルな
「簡素」は、むだな飾りがなく簡単なことで、「シンプル」が近いです。「豪華」はその反対、「頑丈」は丈夫なこと、「独特」はほかにない特徴があることです。
17入社式で、新入社員が一人ずつ今年の抱負を語った。
- 1反省
- 2決意
- 3感想
- 4思い出
答えと解説
答え: 2 決意
「抱負」は、これからしようと心に決めていることや計画で、「決意」が近いです。「反省」「感想」「思い出」は、すでに起きたことについて言う語です。
18彼はいつも、自分の経験を誇張して話す。
- 1省略して
- 2繰り返して
- 3楽しそうに
- 4大げさに
答えと解説
答え: 4 大げさに
「誇張する」は、実際より大きく言うことで、「大げさに」が近いです。「省略する」は一部を省くこと、「繰り返す」は何度も言うことで、意味が違います。
19この祭りは、地方の行事としてはスケールが大きい。
- 1予算
- 2規模
- 3歴史
- 4人気
答えと解説
答え: 2 規模
「スケール」は物事の大きさや広がりのことで、「規模」が近いです。「予算」「歴史」「人気」は意味が違います。
問題4 用法
次の言葉の使い方として最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
20内訳
- 1今回の旅行にかかった費用の内訳を、表にまとめて提出した。
- 2彼は自分の失敗について、長々と内訳をした。
- 3古い箱を開けてみると、内訳には写真がたくさん入っていた。
- 4この小説の内訳は、主人公が旅に出るところから始まる。
答えと解説
答え: 1 今回の旅行にかかった費用の内訳を、表にまとめて提出した。
「内訳」は、合計の金額や数がどんな項目から成っているかを分けて示したものです。2 は「言い訳」、3 は「中」、4 は「物語」や「話」が自然です。
21没頭
- 1夕方になると、太陽が西の山の向こうに没頭していった。
- 2疲れていたので、帰宅するとすぐにベッドに没頭した。
- 3兄は研究に没頭するあまり、食事をとるのも忘れることがある。
- 4大雨で、川沿いの道路が水に没頭してしまった。
答えと解説
答え: 3 兄は研究に没頭するあまり、食事をとるのも忘れることがある。
「没頭」は、ほかのことを忘れるほど一つのことに熱中することです。1 は「沈んで」、2 は「倒れ込んだ」、4 は「つかって」が自然です。
22かばう
- 1祖父は若いころにもらった手紙を、今も大切にかばっている。
- 2友人が引っ越すとき、重い荷物を運ぶのをかばった。
- 3道に迷っている観光客を、駅までかばってあげた。
- 4先輩は、ミスをした私を上司の前でかばってくれた。
答えと解説
答え: 4 先輩は、ミスをした私を上司の前でかばってくれた。
「かばう」は、責められたり傷つけられたりしそうな人を守ることです。1 は「しまって」、2 は「手伝った」、3 は「案内して」が自然です。
23無造作
- 1彼の説明は無造作で、何を言いたいのか全く分からなかった。
- 2机の上には、大事な書類が無造作に積み上げられていた。
- 3この絵の具は無造作なので、子どもが口に入れても安全だ。
- 4この地域には、人の手が入っていない無造作な森が残っている。
答えと解説
答え: 2 机の上には、大事な書類が無造作に積み上げられていた。
「無造作」は、深く考えず、気を配らずに物事をする様子で、「無造作に置く」「無造作に積む」のように使います。1 は「あいまい」、3 は「無害」、4 は「手つかず」が自然です。
24もはや
- 1会議はもはや始まるので、急いで席に着いてください。
- 2このケーキ、もはや一つ食べてもいいですか。
- 3ここまで壊れてしまっては、もはや修理するのは無理だろう。
- 4彼は、約束の時間にもはや遅れたことがない。
答えと解説
答え: 3 ここまで壊れてしまっては、もはや修理するのは無理だろう。
「もはや」は「今となってはもう」という意味で、「もはや〜ない」「もはや無理だ」のように、もう元に戻せない状況に使います。1 は「もうすぐ」、2 は「もう」、4 は「一度も」が自然です。
25募る
- 1連絡のないまま時間が過ぎ、家族の不安は募る一方だった。
- 2庭の木が大きく募って、二階の窓まで届いた。
- 3この店のパンはおいしいので、毎朝客が募っている。
- 4来月、市民ホールでピアノの発表会が募る予定だ。
答えと解説
答え: 1 連絡のないまま時間が過ぎ、家族の不安は募る一方だった。
「募る」には、気持ちがますます強くなるという意味があり、「不安が募る」「思いが募る」と使います。2 は「伸びて」、3 は「集まって」、4 は「開かれる」が自然です。
文法
問題5 文法形式の判断
次の文の( )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
26会場の扉が開く( )、待っていた客たちが一斉に駆け込んだ。
- 1ともなく
- 2や否や
- 3ものなら
- 4ことなしに
答えと解説
答え: 2 や否や
「V辞書形+や否や」は「〜するとすぐに」という意味で、前の出来事の直後に次のことが起こる様子を表します。「ともなく」は「はっきりした意図なく」、「ものなら」は仮定、「ことなしに」は「〜しないで」の意味で、文に合いません。
27この祭りは地元の住民( )、海外からの観光客にも広く親しまれている。
- 1にひきかえ
- 2をよそに
- 3にかこつけて
- 4にとどまらず
答えと解説
答え: 4 にとどまらず
「Nにとどまらず」は「Nだけで終わらず、さらに広い範囲に及ぶ」という意味で、後ろの「〜にも」とよく合います。「にひきかえ」は対比、「をよそに」は「気にかけずに」、「にかこつけて」は「口実にして」の意味です。
28今後の交渉の結果( )、計画そのものを見直す可能性もある。
- 1いかんによっては
- 2いかんを問わず
- 3とあいまって
- 4にもまして
答えと解説
答え: 1 いかんによっては
「Nいかんによっては」は「Nの内容しだいでは」という意味で、結果によって状況が変わることを表します。「いかんを問わず」は「どうであっても関係なく」なので「可能性もある」と合いません。「とあいまって」「にもまして」も意味が通りません。
29その登山隊は激しい吹雪( )、山頂を目指して進み続けた。
- 1を皮切りに
- 2にかまけて
- 3をものともせず
- 4に先駆けて
答えと解説
答え: 3 をものともせず
「Nをものともせず」は「困難なNに負けずに、立ち向かって」という意味です。「を皮切りに」は「それを始まりとして」、「にかまけて」は「それに気を取られて他をおろそかにして」、「に先駆けて」は「他より先に」の意味で、合いません。
30今年の夏は涼しくなる( )、例年以上の猛暑が続いている。
- 1とばかりに
- 2かと思いきや
- 3とあって
- 4ともなれば
答えと解説
答え: 2 かと思いきや
「〜かと思いきや」は「〜だと思ったが、実際は違った」という意味で、予想と反対の結果を述べるときに使います。「とばかりに」は「いかにも〜と言うように」、「とあって」は理由、「ともなれば」は「〜という段階になれば」で、後の内容とつながりません。
31A「今から走っても、最終バスにはもう間に合わないかな。」
B「もう10時半だよ。今から( )、間に合いっこないよ。タクシーで帰ろう。」
- 1走ったところで
- 2走ったが最後
- 3走るからには
- 4走ってからというもの
答えと解説
答え: 1 走ったところで
「Vた形+ところで」は「たとえ〜しても(期待する結果にはならない)」という逆接の仮定です。「たが最後」は「一度〜したら、もう取り返しがつかない」、「からには」は「〜する以上は」、「てからというもの」は「〜して以来ずっと」の意味で、合いません。
32大切な取引先に大きな迷惑をかけてしまった以上、部長が直接謝罪に行か( )だろう。
- 1ずじまい
- 2んばかり
- 3ずともよい
- 4ずにはすまない
答えと解説
答え: 4 ずにはすまない
「Vない形+ずにはすまない」は「立場や状況から考えて、〜しないままでは済まされない」という意味です。「ずじまい」は「結局〜しないで終わった」、「んばかり」は「今にも〜しそうな」、「ずともよい」は「〜しなくてもよい」で、「以上」と合いません。
33長年住み慣れた家を離れることになった祖父の寂しさは、想像( )。
- 1に足らない
- 2にたえない
- 3にかたくない
- 4を禁じ得ない
答えと解説
答え: 3 にかたくない
「想像にかたくない」は「簡単に想像できる」という意味の決まった言い方です。「に足らない」は「〜する価値がない」、「にたえない」は「〜するのがつらいほどひどい」、「を禁じ得ない」は「感情を抑えられない」の意味で、「想像」とは合いません。
34教師( )、生徒一人一人の可能性を信じて接するべきだ。
- 1なりに
- 2たるもの
- 3ごとき
- 4ともなく
答えと解説
答え: 2 たるもの
「Nたるもの」は「Nという立場にある者は(当然〜すべきだ)」という意味で、後ろに「べきだ」などが来ます。「なりに」は「それに応じた程度で」、「ごとき」は軽く見る言い方、「ともなく」は「はっきりした意図なく」の意味で、合いません。
35(会社の受付で)
客「山田と申します。3時に営業部の田中さんとお約束しているのですが。」
受付「山田様ですね。田中から、山田様が( )ら会議室にご案内するよう申しつかっております。」
- 1お目にかかった
- 2伺った
- 3参られた
- 4お見えになった
答えと解説
答え: 4 お見えになった
来た人(客)の動作なので、「来る」の尊敬語「お見えになる」を使います。「お目にかかる」「伺う」は自分側の動作に使う謙譲語なので、客には使えません。「参られる」は謙譲語「参る」に尊敬の「られる」を付けた誤った敬語です。
問題6 文の組み立て
次の文の★に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
36大好きな酒も、__ __ _★_ __ 決心した。
- 1今日を限りに
- 2やめようと
- 3医者に
- 4言われたこともあり
答えと解説
答え: 1 今日を限りに
正しい順番は 3→4→1→2 です。「大好きな酒も、医者に言われたこともあり今日を限りにやめようと決心した。」「Nを限りに」は「Nを最後にして」という意味です。
37この旅館は、料理の味 __ __ _★_ __ 文句のつけようがない。
- 1従業員の
- 2どれをとっても
- 3心配りといい
- 4といい
答えと解説
答え: 3 心配りといい
正しい順番は 4→1→3→2 です。「この旅館は、料理の味といい従業員の心配りといいどれをとっても文句のつけようがない。」「AといいBといい」は「AもBも、どの点から見ても」という意味です。
38父は、家族の __ __ _★_ __ 人だった。
- 1惜しまない
- 2とあれば
- 3ため
- 4どんな苦労も
答えと解説
答え: 4 どんな苦労も
正しい順番は 3→2→4→1 です。「父は、家族のためとあればどんな苦労も惜しまない人だった。」「〜とあれば」は「〜のためなら、〜という事情なら」という意味です。
39学生時代の失敗も、今となっては __ __ _★_ __ 笑って話せるようになった。
- 1として
- 2過ち
- 3若さ
- 4ゆえの
答えと解説
答え: 2 過ち
正しい順番は 3→4→2→1 です。「学生時代の失敗も、今となっては若さゆえの過ちとして笑って話せるようになった。」「Nゆえ(の)」は「Nが原因の」という意味の書き言葉です。
40本日卒業する皆さんが、__ _★_ __ __。
- 1願って
- 2やみません
- 3活躍されることを
- 4それぞれの道で
答えと解説
答え: 3 活躍されることを
正しい順番は 4→3→1→2 です。「本日卒業する皆さんが、それぞれの道で活躍されることを願ってやみません。」「Vてやまない」は「心から〜し続ける」という意味です。
問題7 文章の文法
次の文章を読んで、文章全体の内容を考えて、【番号】の中に入る最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
仕事中の雑談は、むだな時間だと考えられがちだ。限られた勤務時間の中で成果を出すには、目の前の作業に集中するのが一番だという考え方もよく分かる。1、雑談がまったくない職場が本当に働きやすいかといえば、そうとも言い切れないのではないか。
以前、私が勤めていた部署では、昼休みにも会話がほとんどなかった。だれもが自分の仕事に追われ、隣の席の同僚が何に困っているのかさえ知らなかった。ある時、取引先に送った資料に誤りが見つかったのだが、実は担当者は数日前からその点に不安を感じていたという。気軽に声をかけられる雰囲気があれば、もっと早く相談できたはずだ。小さな疑問を口にしにくい職場では、ささいなミスが大きな問題に2。
その後、部署に来た新しいリーダーは、毎朝五分だけ、仕事と関係のない話をする時間を設けた。最初は戸惑っていた社員たちも、次第に週末の出来事や趣味について話すようになった。すると、仕事の相談も以前より気軽にできるようになったのである。同僚に自分のことを少しでも知って3という安心感が、人を話しやすくさせるのだろう。
雑談そのものが何かを生み出すわけではない。しかし、互いを知り、困ったときに「ちょっといいですか」と言える関係を作ること、4、雑談が職場にもたらす最大の価値なのだ。そう考えると、雑談は仕事のじゃまをするものではなく、仕事を支える土台の一つである5。
411
- 1とはいうものの
- 2したがって
- 3そのうえ
- 4つまり
答えと解説
答え: 1 とはいうものの
前の文では「作業に集中するのが一番だという考えも分かる」と認め、後の文では「そうとも言い切れない」と反対の方向に話を進めています。前を認めつつ反対のことを言う「とはいうものの」が合います。「したがって」「そのうえ」「つまり」は前と同じ方向に話を続ける言葉です。
422
- 1なりえない
- 2なるまでもない
- 3なるにはあたらない
- 4なりかねない
答えと解説
答え: 4 なりかねない
資料の誤りの例から、「疑問を口にしにくい職場では、小さなミスが大きな問題になるおそれがある」と言いたいので、悪い結果の可能性を表す「なりかねない」が合います。「なりえない」は可能性を否定し、「なるまでもない」「なるにはあたらない」は「その必要はない」の意味です。
433
- 1あげている
- 2もらえている
- 3おいている
- 4しまっている
答えと解説
答え: 2 もらえている
同僚が自分のことを知ってくれている、という恩恵を受ける側から言っているので「知ってもらえている」が合います。「知ってあげている」は自分が知る側になり、「知っておいている」は形として誤り、「知ってしまっている」は残念な気持ちを表し「安心感」と合いません。
444
- 1それどころか
- 2それにしても
- 3それこそが
- 4それなのに
答えと解説
答え: 3 それこそが
前の「〜関係を作ること」を指して「まさにそれが最大の価値だ」と強調しているので「それこそが」が入ります。後の「〜なのだ」とも合います。「それどころか」「それにしても」「それなのに」は接続の言葉で、「〜こと、_、〜価値なのだ」という文の形になりません。
455
- 1と言えよう
- 2とは限らない
- 3どころではない
- 4わけにはいかない
答えと解説
答え: 1 と言えよう
「そう考えると」を受けて、筆者が文章全体の結論を述べる部分なので、「〜と言えるだろう」という意味の「と言えよう」が合います。「とは限らない」は結論を弱めて前と矛盾し、「どころではない」「わけにはいかない」は意味が通りません。
読解
問題8 内容理解(短文)
次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
革の財布を買ったとき、店の人に「これから育てていってください」と言われた。最初は妙な言い方だと思ったが、十年近く使った今なら、その意味がわかる気がする。毎日手に触れるうちに、革はつやを帯び、角は丸くなり、ポケットの形に沿ってわずかに曲がった。同じ製品を買った人は大勢いるだろうが、この色合いと形をしているものは世界に一つしかない。道具を育てるとは、手入れをして新品の状態を保つことではなく、使い手の暮らしの跡を道具に刻んでいくことなのだろう。
46筆者の言う「道具を育てる」とはどういうことか。
- 1こまめに手入れをして、買ったときの状態を長く保つこと
- 2高価な道具を選んで、長く使えるように大切に扱うこと
- 3使い続けることで、道具を自分だけの姿に変えていくこと
- 4店の人の助言に従って、道具の正しい使い方を身につけること
答えと解説
答え: 3 使い続けることで、道具を自分だけの姿に変えていくこと
最後の文に「育てるとは、手入れをして新品の状態を保つことではなく、使い手の暮らしの跡を道具に刻んでいくこと」とあります。使ううちに世界に一つの色や形になることなので、3が正解です。1は本文で否定されています。
社員食堂の営業時間および支払い方法の変更について
社員各位
総務部
11月1日より、社員食堂の運営を下記のとおり変更します。
- 昼食の営業時間を、現在の11時30分〜13時30分から、11時〜14時に延長します。
- 夕食の営業(17時30分〜19時)は、10月31日をもって終了します。
- お支払いは社員証による給与天引きのみとし、現金の取り扱いを終了します。なお、来客用の食券は、従来どおり1階受付で現金にて販売します。
問い合わせ:総務部(内線2104)
4711月から社員食堂について変わることは何か。
- 1昼食の営業時間が長くなり、社員は食堂で現金が使えなくなる。
- 2昼食の営業時間が長くなり、夕食は来客だけが利用できるようになる。
- 3夕食の営業が終わり、来客用の食券が社員証で買えるようになる。
- 4夕食の営業が終わり、昼食は社員証か現金で支払うことになる。
答えと解説
答え: 1 昼食の営業時間が長くなり、社員は食堂で現金が使えなくなる。
昼食は11時〜14時に延長され、支払いは社員証による給与天引きのみになって現金の取り扱いが終わります。したがって1が正解です。夕食は来客も含めて終了し、来客用の食券は従来どおり現金で販売されるので、2・3・4は合いません。
溶けたアイスクリームをなめて、甘すぎると感じた経験はないだろうか。実は、舌が甘味を感じる強さは温度によって変わる。甘味を受け取る舌の仕組みは体温に近い温度で最もよく働き、冷たくなるほど反応が鈍くなることが知られている。そのため、冷たい状態でちょうどよく感じられるよう、アイスクリームにはかなりの量の砂糖が加えられている。それが溶けて温度が上がると、本来の甘さがそのまま舌に届くのである。逆に、温かい料理に入れた砂糖は、冷めてから味見をすると物足りなく感じることがある。
48本文の内容に合うものはどれか。
- 1アイスクリームは、溶けると砂糖の量が増えるため、甘く感じられる。
- 2舌は冷たいものほど甘味を強く感じるので、冷たい菓子は砂糖が少なくてよい。
- 3温かい料理は、冷めてから味見をしたほうが正確に甘さがわかる。
- 4冷たい食べ物は甘さを感じにくいため、砂糖を多めに入れて作られている。
答えと解説
答え: 4 冷たい食べ物は甘さを感じにくいため、砂糖を多めに入れて作られている。
本文に「冷たくなるほど反応が鈍くなる」「冷たい状態でちょうどよく感じられるよう、アイスクリームにはかなりの量の砂糖が加えられている」とあるので、4が正解です。砂糖の量は溶けても変わらず(1)、冷たいほど甘味は弱く感じ(2)、冷めると物足りなく感じる(3)ので、ほかは誤りです。
聞き上手というと、相手の話にタイミングよく相づちを打ち、気の利いた質問を返せる人を思い浮かべるかもしれない。だが、私が本当に聞き上手だと思うのは、むしろ沈黙を恐れない人である。話し手が言葉に詰まったとき、すぐに助け舟を出したくなるのが人情だ。しかし、その間に話し手は、自分でもまだ形になっていない考えを探っていることが多い。そこで先回りして言葉を補ってしまえば、相手の考えは聞き手の言葉に置き換えられてしまう。黙って待つことも、立派な聞き方なのだ。
49筆者の考える聞き上手とは、どのような人か。
- 1相づちや質問を工夫して、相手が話しやすい雰囲気を作れる人
- 2相手が言葉を探している間、口をはさまずに待てる人
- 3相手が言葉に詰まったとき、適切な言葉を補ってあげられる人
- 4自分の意見を言う前に、相手の話を最後まで聞ける人
答えと解説
答え: 2 相手が言葉を探している間、口をはさまずに待てる人
筆者は「本当に聞き上手だと思うのは、むしろ沈黙を恐れない人」と述べ、相手が考えを探している間に言葉を補わず「黙って待つ」ことを評価しています。したがって2が正解です。1は一般的なイメージとして紹介されているだけで、3は筆者が問題だとしている行動です。
問題9 内容理解(中文)
次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
「空はどうして青いの」「魚は眠らないの」。幼い子どもは次から次へと「なぜ」を口にする。忙しい大人は、つい正しい答えを手短に教えて済ませてしまいがちだ。もちろん、知識を与えること自体が悪いわけではない。しかし、答えをすぐに手渡すことには、見過ごされがちな落とし穴がある。
子どもが「なぜ」と問うとき、そこには小さな仮説が隠れていることが多い。たとえば「魚は眠らないの」と尋ねる子は、魚がいつも目を開けていることに気づき、眠るときは目を閉じるはずだと考えているのかもしれない。大人が「眠るよ」とだけ答えれば、問いはそこで閉じてしまう。①子どもが自分で組み立てかけていた筋道は、使われないまま置き去りにされるのである。さらに、問えばすぐに答えが返ってくる経験を重ねると、子どもは、答えを自分で探すより、知っている人に尋ねるほうが早いと学んでしまう。
では、どうすればよいのか。私は、答える前に「どうしてそう思ったの」と聞き返してみることを勧めたい。子どもは自分の考えを言葉にするうちに、何がわかっていて何がわかっていないのかに気づく。大人の役割は、問いに正解を与えることよりも、問いを育てることにあるのではないだろうか。
50①「子どもが自分で組み立てかけていた筋道は、使われないまま置き去りにされる」とはどういうことか。
- 1子どもが大人の答えを理解できず、疑問がそのまま残ってしまうということ
- 2子どもが自分なりに考えていたことが、生かされずに終わるということ
- 3子どもが大人の答えを信じて、自分の考えを間違いだと思い込むということ
- 4子どもが次の疑問に関心を移し、前の問いを忘れてしまうということ
答えと解説
答え: 2 子どもが自分なりに考えていたことが、生かされずに終わるということ
「筋道」は、子どもの問いに隠れている「小さな仮説」(魚は眠るとき目を閉じるはずだ、という考え)を指します。大人が答えだけを言うと、その考えが使われずに終わる、という意味なので2が正解です。
51筆者によると、子どもの問いにすぐ答えを教えることの問題点は何か。
- 1子どもが、間違った知識を身につけてしまうおそれがあること
- 2大人が忙しさを理由に、子どもと話す時間を減らしてしまうこと
- 3子どもが大人の答えに満足せず、さらに多くの質問をするようになること
- 4子どもが、自分で考えるより人に聞くほうがよいと思うようになること
答えと解説
答え: 4 子どもが、自分で考えるより人に聞くほうがよいと思うようになること
第2段落の最後に「答えを自分で探すより、知っている人に尋ねるほうが早いと学んでしまう」とあるので、4が正解です。教える答えは「正しい答え」なので1は合わず、2・3は本文に書かれていません。
52この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
- 1大人は子どもの問いに対して、子ども自身の考えを引き出すように接するべきだ。
- 2大人は子どもの問いに、できるだけ正確な知識で答えられるよう準備するべきだ。
- 3子どもの問いには、大人が答えずに、子ども自身に調べさせるほうがよい。
- 4子どもの問いの多くには仮説が隠れているので、大人が答える必要はない。
答えと解説
答え: 1 大人は子どもの問いに対して、子ども自身の考えを引き出すように接するべきだ。
筆者は「どうしてそう思ったの」と聞き返すことを勧め、大人の役割は「問いを育てること」だと述べています。子どもの考えを言葉にさせることなので1が正解です。筆者は調べさせることや、答えないことを勧めてはいないので3・4は誤りです。
試験の前夜に徹夜で覚えた内容が、翌日にはすっかり抜け落ちていた。そんな経験を持つ人は少なくないだろう。近年の研究によって、眠りは単に体を休める時間ではなく、記憶を整える時間でもあることがわかってきた。
日中に経験したことは、まず脳の中の一時的な保管場所に蓄えられる。眠っている間、脳はその日の経験を何度も再生し、残すべきものを長期的な保管場所へ移していると考えられている。①この作業は、必要な情報だけを選び出し、不要な情報を手放す作業でもある。すべてを覚えておこうとすれば、脳はすぐにいっぱいになってしまうからだ。
ある実験では、参加者に単語の組み合わせを覚えてもらい、一方のグループには睡眠をとらせ、もう一方のグループには同じ時間、起きたまま過ごさせた。その後で覚えた単語を思い出してもらうと、睡眠をとったグループのほうが成績がよかった。さらに興味深いことに、覚える前に「後でテストがある」と伝えられていた場合に、その差が特に大きくなったという。脳は眠っている間に、後で役立つと判断した情報を優先して残しているのかもしれない。
こうして見ると、徹夜で詰め込むのは、整理する時間を自ら削っているようなものだ。覚えたら眠る。それが記憶にとって最も効率のよい方法なのである。
53①「この作業」とは何か。
- 1日中に経験したことを、一時的な保管場所に蓄えること
- 2眠る前に、その日に覚えた内容を何度も繰り返すこと
- 3眠っている間に、残すべき記憶を長期的な保管場所へ移すこと
- 4試験の前に、覚えた内容を思い出す練習をすること
答えと解説
答え: 3 眠っている間に、残すべき記憶を長期的な保管場所へ移すこと
直前の文に「眠っている間、脳はその日の経験を何度も再生し、残すべきものを長期的な保管場所へ移している」とあり、これを「この作業」と言っています。したがって3が正解です。1は眠る前の段階、2は眠る前の行動なので違います。
54実験の結果からわかることは何か。
- 1睡眠時間が長いほど、多くの単語を思い出すことができる。
- 2後で使うと知っている情報は、眠った後によく残りやすい。
- 3起きていたグループも、テストがあると知っていれば成績がよかった。
- 4覚える単語の数が少ないほど、睡眠の効果は大きくなる。
答えと解説
答え: 2 後で使うと知っている情報は、眠った後によく残りやすい。
睡眠をとったグループの成績がよく、「後でテストがある」と伝えられていた場合に差が特に大きくなりました。後で使うとわかっている情報は、眠ると残りやすいということなので2が正解です。睡眠の長さや単語の数は比べていないので1・4は誤りです。
55筆者の説明に合うものはどれか。
- 1眠りの主な役割は、日中に疲れた体を回復させることである。
- 2脳は眠っている間に、その日のすべての経験を長期的に保存する。
- 3徹夜で覚えた内容は、一度眠ると忘れてしまいやすい。
- 4新しいことを覚えたら、その後で眠ることが記憶に役立つ。
答えと解説
答え: 4 新しいことを覚えたら、その後で眠ることが記憶に役立つ。
最後の段落に「覚えたら眠る。それが記憶にとって最も効率のよい方法」とあるので4が正解です。脳は不要な情報を手放すので2は誤りで、筆者は眠りが体を休めるだけの時間ではないと述べているので1も合いません。
留学して間もないころ、寮の夕食の席で冗談を言ったことがある。ルームメートが料理を焦がしたのを見て、「今日のシェフは炭火焼きが得意らしい」と言ったのだ。日本語なら軽い笑いが起きる場面だろう。ところが、テーブルは静まり返り、ルームメートは申し訳なさそうに謝り始めた。
後で親しい友人に聞いてわかったのは、私の言い方では、皮肉なのか冗談なのかが伝わらなかったということだ。その国では、冗談を言うときには声の調子を大げさに変えたり、自分も笑ってみせたりして、「これは本気ではない」と合図を送るのが普通だという。私は日本で話すときと同じように、淡々とした口調で言っていた。言葉そのものは正しくても、冗談だという合図が抜け落ちていたのである。
①あのときの気まずさは、今でも思い出すと顔が熱くなる。だが、この失敗から学んだことは大きかった。外国語を学ぶというと、私たちはつい単語や文法ばかりに目を向けてしまう。しかし、笑いのように人と人との距離を縮めるやりとりほど、言葉の外側にある約束事に支えられている。それを知るには、教科書を読むよりも、その言葉を話す人たちの輪の中に入り、たくさん失敗してみるしかないのだろう。
56筆者の冗談が通じなかったのはなぜか。
- 1冗談であることを示す話し方をしていなかったから
- 2冗談に使った単語の意味が正しくなかったから
- 3その国では、料理の失敗を笑うことが失礼だったから
- 4ルームメートが、筆者の言葉を聞き取れなかったから
答えと解説
答え: 1 冗談であることを示す話し方をしていなかったから
第2段落に、その国では声の調子を変えたり自分も笑ったりして冗談だと合図を送るが、筆者は「淡々とした口調」で言ったため「冗談だという合図が抜け落ちていた」とあります。したがって1が正解です。「言葉そのものは正しくても」とあるので2は誤りです。
57①「あのときの気まずさは、今でも思い出すと顔が熱くなる」とあるが、このときの筆者の気持ちに最も近いものはどれか。
- 1ルームメートに謝らせたことに腹が立つ気持ち
- 2友人に本当のことを教えてもらえてうれしい気持ち
- 3場の空気を悪くしたことを恥ずかしく思う気持ち
- 4冗談をわかってもらえなかったことを不満に思う気持ち
答えと解説
答え: 3 場の空気を悪くしたことを恥ずかしく思う気持ち
「顔が熱くなる」は恥ずかしさを表す表現です。冗談のつもりがテーブルを静まり返らせ、ルームメートに謝らせてしまった「気まずさ」を思い出しているので、3が正解です。筆者は自分の言い方に原因があったと理解しているので、4の不満ではありません。
58筆者がこの経験から学んだことは何か。
- 1外国語では、冗談を言うより正しい文法で話すことのほうが大切だ。
- 2人と打ち解けるためのやりとりには、言葉以外の決まりも関わっている。
- 3外国語で冗談を言うときは、相手の国の笑いの好みを調べておくべきだ。
- 4外国語の会話の決まりは、教科書で前もって学んでおくことができる。
答えと解説
答え: 2 人と打ち解けるためのやりとりには、言葉以外の決まりも関わっている。
最後の段落に「笑いのように人と人との距離を縮めるやりとりほど、言葉の外側にある約束事に支えられている」とあるので2が正解です。筆者は、それを知るには教科書よりも人の輪に入って失敗するしかないと述べているので4は誤りです。
問題10 内容理解(長文)
次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
本を速く読む技術が、相変わらず人気を集めている。書店には「一冊を三十分で読む」といった本が並び、限られた時間で多くの情報を得たいという人々の需要に応えている。私自身、仕事の資料に目を通すときには、拾い読みに助けられることが少なくない。必要な数字や結論を探すだけなら、全文を一字一句たどる必要はないからだ。忙しい現代人にとって、その魅力はよく理解できる。
しかし、あらゆる読書をこの方法で済ませようとする風潮には、どうしても疑問を感じてしまう。速読の技術の多くは、文章を「情報の入れ物」とみなし、中身をいかに効率よく取り出すかを目指している。①この考え方に立てば、読むという行為は、できるだけ短く済ませるべき手間でしかない。だが、小説や思想書のような本は、要点を取り出せばそれで終わり、というものではない。
たとえば、ある小説のあらすじを人から聞いたとしても、その小説を読んだことにはならないだろう。登場人物が迷い、ためらい、ようやく一つの決断に至るまでの長い道のりに付き合うことで、読者は自分でも気づかなかった感情を呼び起こされる。思想書も同じである。著者が一つの結論にたどり着くまでに、どんな反論を想定し、どこで立ち止まったのか。その過程をたどってこそ、結論の重みが理解できる。速く読むことで失われるのは、まさにこの「途中」なのだ。
遅く読むことには、もう一つの効用がある。ゆっくり読んでいると、ふと本から目を離し、考え込む瞬間が訪れる。書かれていることを自分の経験と照らし合わせたり、どこかで反論したくなったりする。ときには、何年も前に読んだ別の本の一節を思い出すこともある。こうした脱線は、効率という点から見れば無駄に思えるかもしれない。しかし、本の言葉が自分の考えと結びつき、自分のものになっていくのは、むしろこうした時間においてである。読書の成果は、読み終えた本の数ではなく、本を閉じた後に自分の中に何が残ったかで測られるべきだろう。
もっとも、私は速読を否定したいわけではない。問題は、速く読むか遅く読むかではなく、読む目的に応じて読み方を選んでいるかどうかである。資料は速く読めばいい。だが、自分を揺さぶるような本に出会ったときには、先を急ぐ手を止め、一行一行に時間をかけるぜいたくを自分に許してもよいのではないか。
59①「この考え方」とはどのような考え方か。
- 1本は時間をかけて、一字一句ていねいに読むべきだという考え方
- 2仕事の資料なら、拾い読みで十分に用が足りるという考え方
- 3本を読む人が増えれば、本の需要も高まるという考え方
- 4文章から必要な中身を、できるだけ効率よく得ればよいという考え方
答えと解説
答え: 4 文章から必要な中身を、できるだけ効率よく得ればよいという考え方
直前に、速読の技術は文章を「情報の入れ物」とみなし、「中身をいかに効率よく取り出すか」を目指しているとあります。これが「この考え方」なので4が正解です。2は筆者自身の経験で、「この考え方」が指す内容ではありません。
60筆者が速読に疑問を持つのはなぜか。
- 1結論に至るまでの過程にこそ、本を読む意味があると考えるから
- 2速く読むと、本に書かれた情報を正確に理解できないから
- 3速読の技術を身につけるには、長い時間がかかるから
- 4速読を勧める本の多くは、内容が不十分だと考えるから
答えと解説
答え: 1 結論に至るまでの過程にこそ、本を読む意味があると考えるから
第3段落で、登場人物や著者が結論に至るまでの道のりをたどってこそ意味があり、「速く読むことで失われるのは、まさにこの『途中』なのだ」と述べています。したがって1が正解です。情報の正確さ(2)は問題にしていません。
61筆者によると、遅く読むことの効用は何か。
- 1読み終えた本の数が少なくても、満足感が得られること
- 2小説のあらすじを、人に正確に説明できるようになること
- 3本の内容が自分の考えと結びつき、身についていくこと
- 4本から目を離すことで、目や頭の疲れを防げること
答えと解説
答え: 3 本の内容が自分の考えと結びつき、身についていくこと
第4段落に、ゆっくり読むと考え込む時間が生まれ、「本の言葉が自分の考えと結びつき、自分のものになっていく」とあります。したがって3が正解です。本から目を離すのは考え込むためで、疲れを防ぐため(4)ではありません。
62この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
- 1どのような本も、時間をかけてゆっくり読むべきだ。
- 2読む目的に応じて、読む速さを使い分けるのがよい。
- 3速読は、小説よりも思想書を読むときに役に立つ。
- 4読書の成果は、読んだ本の数によって決まる。
答えと解説
答え: 2 読む目的に応じて、読む速さを使い分けるのがよい。
最後の段落で「問題は、速く読むか遅く読むかではなく、読む目的に応じて読み方を選んでいるかどうか」と述べ、資料は速く、心を揺さぶる本はゆっくり読めばよいとしています。したがって2が正解です。筆者は速読を否定していないので1は誤り、4は本文と逆です。
問題11 統合理解
次のAとBの文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
A
動物園の最も重要な役割の一つは、絶滅のおそれがある動物を守ることである。野生での数が減り続けている種の中には、動物園での繁殖によって命をつないでいるものもある。各地の動物園が協力して血統を管理し、繁殖させた個体を野生に戻す取り組みも進められている。
また、動物園は、多くの人が実際の動物に出会える貴重な場でもある。映像でどれほど詳しく見ても、目の前の動物が放つ大きさや息遣いを感じ取ることはできない。子どもたちが本物の動物に触れ、命への関心を持つことが、将来の自然保護を支える力になる。動物園は今後も、保護と教育の拠点としての役割を、さらに充実させていくべきだ。
B
動物園が希少な動物の保護に貢献してきたことは確かだ。しかし、来園者の目を楽しませることを優先した展示が、いまだに少なくないのも事実である。狭いおりの中で、同じ場所を行ったり来たりし続ける動物の姿を見て、心を痛めた経験のある人もいるだろう。
野生の動物は、えさを探し、群れの仲間と関わり、広い範囲を移動しながら暮らしている。そうした本来の行動ができない環境では、動物は大きなストレスを抱える。これからの動物園は、見せることよりも、動物がその動物らしく暮らせることを第一に考えるべきだ。それによって展示できる動物の種類が減ったとしても、本来の姿を伝えることこそが、来園者にとって本当の学びになるはずだ。
63AとBのどちらの文章にも述べられていることは何か。
- 1動物園は、希少な動物を守るうえで役割を果たしている。
- 2動物園の展示は、動物に大きなストレスを与えている。
- 3本物の動物を見ることは、子どもの教育に欠かせない。
- 4動物園は、動物を野生に戻す活動にもっと力を入れるべきだ。
答えと解説
答え: 1 動物園は、希少な動物を守るうえで役割を果たしている。
Aは絶滅のおそれがある動物を守ることを最も重要な役割の一つとし、Bも「希少な動物の保護に貢献してきたことは確か」と認めています。したがって1が正解です。2はBだけ、3はAだけの内容で、4はどちらにも書かれていません。
64動物園の今後について、AとBはどのように述べているか。
- 1AもBも、展示する動物の種類を増やすべきだと述べている。
- 2AもBも、動物の暮らしやすさを最も重視すべきだと述べている。
- 3Aは教育の場としての役割を減らすべきだと述べ、Bは保護の役割を広げるべきだと述べている。
- 4Aは保護と教育の役割を充実させるべきだと述べ、Bは動物本来の暮らしを優先すべきだと述べている。
答えと解説
答え: 4 Aは保護と教育の役割を充実させるべきだと述べ、Bは動物本来の暮らしを優先すべきだと述べている。
Aは最後に「保護と教育の拠点としての役割を、さらに充実させていくべきだ」と述べ、Bは「動物がその動物らしく暮らせることを第一に考えるべきだ」と述べています。したがって4が正解です。Bは種類が減ってもよいと言っているので1は誤りです。
問題12 主張理解(長文)
次の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
わからないことがあれば、手元の画面で調べるとすぐに答えが見つかる。料理の手順から歴史上の出来事、専門的な学説に至るまで、私たちはかつてないほど容易に知識にたどり着けるようになった。だが、その便利さと引き換えに、私たちは何かを手放しつつあるのではないか。
最近、学生のレポートを読んでいて気になることがある。どのレポートにも、関連する情報は十分に集められている。引用も正確で、構成も整っている。それなのに、①読み終えても書き手の顔が見えてこない。集めた情報が手際よく並べられているだけで、それらを書き手がどう受け止め、どう考えたのかが書かれていないのである。本人に尋ねると、「いろいろな意見があるので、自分の意見を言うのは難しい」という答えが返ってくることが多い。
ここで問題になっているのは、「調べる」ことと「考える」ことの混同である。調べるとは、すでにだれかが出した答えを探し出すことだ。一方、考えるとは、答えがまだない問い、あるいは答えが一つに定まらない問いに対して、自分なりの筋道を立てることである。調べることは考えるための材料を集める作業であって、考えることそのものではない。ところが、検索すれば何らかの答えが見つかる環境に慣れると、答えを見つけた時点で、考えることまで済ませたような気になってしまう。
さらに厄介なのは、情報が多ければ多いほど、自分で判断しなくてもよい理由が見つかりやすくなることだ。ある意見には必ず反対の意見があり、どちらにも専門家の裏付けがある。そうなると、どちらかを選ぶことは無責任な行為のように思えてくる。こうして「いろいろな意見がある」という言葉は、考えを深めるための出発点ではなく、考えることをやめるための言い訳になってしまう。
では、自分で考えるとはどういうことか。私は、それは情報の中から正解を選び出すことではなく、情報と自分との間に距離をとり、自分の経験や価値観と照らし合わせながら、暫定的にでも一つの立場を引き受けることだと考える。その立場は、新しい事実を知れば変わってもかまわない。むしろ、一度立場を決めるからこそ、それを揺るがす情報に出会ったときに、本当の意味で考えを改めることができる。何も選ばない人は、考えを改めることすらできないのである。
情報が乏しかった時代には、知識を持っていること自体に価値があった。しかし、だれもが同じ情報にたどり着ける今、問われているのは、その情報を前にして自分はどう考えるのかということである。答えを探すことに費やしていた時間の一部を、問いと向き合う時間に回すこと。そこからしか、自分で考える力は育たないだろう。
65①「読み終えても書き手の顔が見えてこない」とはどういうことか。
- 1レポートに、書き手の名前や所属が書かれていないということ
- 2レポートの情報が不足していて、何を言いたいのかわからないということ
- 3レポートに、書き手自身の考えが表れていないということ
- 4レポートの引用が多すぎて、だれの文章かわからないということ
答えと解説
答え: 3 レポートに、書き手自身の考えが表れていないということ
すぐ後に「それらを書き手がどう受け止め、どう考えたのかが書かれていない」と説明されています。したがって3が正解です。情報は「十分に集められている」ので2は誤りで、引用が多すぎるとは書かれていないので4も違います。
66筆者が特に問題だと考えていることは何か。
- 1インターネットで調べた情報には、誤ったものが多いこと
- 2多様な意見があることを理由に、自分で判断することを避けること
- 3学生が、専門家の意見を正確に引用できないこと
- 4反対の意見を持つ人どうしが、話し合おうとしないこと
答えと解説
答え: 2 多様な意見があることを理由に、自分で判断することを避けること
第4段落で、情報が多いと自分で判断しなくてもよい理由が見つかりやすく、「いろいろな意見がある」という言葉が「考えることをやめるための言い訳になってしまう」と述べています。したがって2が正解です。引用は「正確」とあるので3は誤りです。
67筆者は「調べる」と「考える」の違いをどのように説明しているか。
- 1「調べる」は専門家に任せる仕事であり、「考える」はだれにでもできることだ。
- 2「調べる」は時間がかかる作業であり、「考える」はすぐにできることだ。
- 3「調べる」は考えた後で確かめる作業であり、「考える」はそのための準備だ。
- 4「調べる」は既にある答えを探すことであり、「考える」は自分なりの筋道を立てることだ。
答えと解説
答え: 4 「調べる」は既にある答えを探すことであり、「考える」は自分なりの筋道を立てることだ。
第3段落に「調べるとは、すでにだれかが出した答えを探し出すこと」「考えるとは…自分なりの筋道を立てること」とあるので4が正解です。本文では、調べることは考えるための材料集めとされており、3はその順番が逆になっています。
68この文章で筆者が最も言いたいことは何か。
- 1情報があふれる時代だからこそ、仮にでも自分の立場を決めて考えることが必要だ。
- 2正しい判断をするためには、できるだけ多くの情報を集めてから立場を決めるべきだ。
- 3一度決めた立場は、新しい情報に出会っても簡単に変えるべきではない。
- 4情報を探す時間を減らすために、検索の技術を身につけるべきだ。
答えと解説
答え: 1 情報があふれる時代だからこそ、仮にでも自分の立場を決めて考えることが必要だ。
筆者は、自分で考えるとは「暫定的にでも一つの立場を引き受けること」であり、だれもが同じ情報にたどり着ける今こそ「自分はどう考えるのか」が問われていると述べています。したがって1が正解です。立場は「変わってもかまわない」とあるので3は誤りです。
問題13 情報検索
次の案内を見て、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
大学院生研究助成 募集要項(2027年度)
みどり台大学大学院 研究支援課
本学大学院に在籍する学生の研究活動を支援するため、下記のとおり研究助成の応募者を募集します。
| 助成の種類 | 応募資格 | 助成額 | 提出書類 |
|---|---|---|---|
| A 研究活動助成 | 博士後期課程に在籍する者 | 1件50万円以内 | 申請書、研究計画書、指導教員の推薦書 |
| B 学会発表助成 | 修士課程または博士後期課程に在籍し、2027年度中に学会での発表が決まっている者 | 国内:1件5万円以内/海外:1件15万円以内 | 申請書、発表の採択通知の写し |
| C 共同研究助成 | 異なる研究科に所属する大学院生3名以上のグループ | 1件80万円以内 | 申請書、研究計画書、メンバー全員の指導教員の推薦書 |
応募期間
2027年4月5日(月)〜4月23日(金)17時
応募方法
- 提出書類を、研究支援課の窓口に持参してください。郵送・メールでの応募は受け付けません。
- 応募する前に、必ず研究支援課のウェブサイトで「研究倫理研修」(オンライン、約1時間)を受講し、修了証を申請書に添付してください。
- 指導教員の推薦書は、応募者を通さず、指導教員から研究支援課へ直接提出してもらってください。
注意事項
- AとCは、どちらか一方にしか応募できません。Bは、AまたはCと同時に応募することができます。
- 2026年度に同じ種類の助成を受けた者は、応募できません。
- 休学中の者は応募できません。
- 採択結果は、5月下旬に本人にメールで通知します。
問い合わせ:研究支援課(内線3150)
69次の4人は、みどり台大学大学院の学生である。Aの研究活動助成とBの学会発表助成の両方に応募できるのはだれか。
- 1修士課程2年のリンさん。2027年度中に海外の学会での発表が決まっている。2026年度は助成を受けていない。
- 2博士後期課程1年の田中さん。2027年度中に国内の学会での発表が決まっている。2026年度は助成を受けていない。
- 3博士後期課程2年の佐藤さん。2027年度中に国内の学会での発表が決まっている。2026年度にAの助成を受けた。
- 4博士後期課程3年のマリアさん。2027年度中に海外の学会での発表が決まっているが、現在休学中である。
答えと解説
答え: 2 博士後期課程1年の田中さん。2027年度中に国内の学会での発表が決まっている。2026年度は助成を受けていない。
Aは博士後期課程の学生だけが応募でき、Bは発表が決まっている学生が応募できます。AとBは同時に応募できます。リンさんは修士課程なのでAに応募できず、佐藤さんは2026年度にAを受けたのでAに応募できず、マリアさんは休学中なので応募できません。したがって2の田中さんが正解です。
70博士後期課程のアリさんは、Aの研究活動助成に応募したいと考えている。アリさんが応募までにしなければならないことはどれか。
- 1申請書、研究計画書、指導教員の推薦書の3点をそろえ、4月23日までに研究支援課へメールで送る。
- 2研究倫理研修を受講し、修了証、申請書、研究計画書、指導教員の推薦書をそろえて自分で窓口に持参する。
- 3研究倫理研修を受講して修了証を申請書に添付し、研究計画書とともに窓口に持参し、推薦書は指導教員に直接提出してもらう。
- 4申請書と研究計画書を窓口に持参して応募し、採択された後で研究倫理研修を受講して修了証を提出する。
答えと解説
答え: 3 研究倫理研修を受講して修了証を申請書に添付し、研究計画書とともに窓口に持参し、推薦書は指導教員に直接提出してもらう。
応募前に研究倫理研修を受けて修了証を申請書に添付し、書類は窓口に持参します。推薦書は「応募者を通さず、指導教員から研究支援課へ直接提出」とあるので3が正解です。メールでの応募はできず(1)、推薦書を自分で持参するのは誤りで(2)、研修は応募前に受ける必要があります(4)。
正答表
- 12
- 24
- 31
- 43
- 51
- 64
- 73
- 82
- 94
- 101
- 112
- 123
- 131
- 144
- 151
- 163
- 172
- 184
- 192
- 201
- 213
- 224
- 232
- 243
- 251
- 262
- 274
- 281
- 293
- 302
- 311
- 324
- 333
- 342
- 354
- 361
- 373
- 384
- 392
- 403
- 411
- 424
- 432
- 443
- 451
- 463
- 471
- 484
- 492
- 502
- 514
- 521
- 533
- 542
- 554
- 561
- 573
- 582
- 594
- 601
- 613
- 622
- 631
- 644
- 653
- 662
- 674
- 681
- 692
- 703
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